ここ数年、日本でも投資ブームが起きていると言われています。これまで世界的に見ても、他の欧米先進国と比べて圧倒的に預金を好む傾向にあった日本人ですが、そうした傾向に大きな変化が表れているのです。
投資ブーム自体は2010年代からじわじわ起こっていたものの、2020年以降の個人投資家の増加率は著しいものがあります。そして、このブームの中心にいるのは年齢層は30代から50代の現役世代です。「人生100年時代」の現代において、将来の資産形成や老後資金の確保を目的として、積極的に投資を行っている人が増えています。
そんな投資の中でも、安定した人気を誇っているのがゴールド取引です。一言でゴールド取引と言っても、その投資方法はさまざまあるのですが、ここではCFDにおけるゴールド取引について説明していきたいと思います。
そもそもCDFとは?
CFDとは、『Contract for Difference』の略で、日本語では「差金決済取引」と呼ばれています。主に金融市場で利用されるデリバティブ(金融派生商品)の一種のことを指しており、このCFDを利用することで、物理的に資産を所有することなく、価格変動を取引対象として利益を上げることができます。
ゴールドだけでなく、基本的には、株式や商品(ゴールドや原油など)、通貨、株価指数など、様々な金融資産を対象とした取引が可能です。
このCFD取引の最大の特徴は、レバレッジをかけて取引できることと、上昇局面でも下降局面でも利益を狙えることです。具体的に説明すると、価格が上がると予測した場合は「買い(ロング)」、逆に価格が下がると予測した場合は「売り(ショート)」の取引が可能です。
ここまで読んで、投資に興味があって勉強しているという方の中には「あれ?」と思った方もいるかもしれません。そう、今、若い世代を中心に注目を集めている投資法のひとつ、FXの仕組みとよく似ていますよね。実はFXも、厳密にいうとCFD取引の種類のひとつなのです。
ゴールド取引とCFD
ゴールド(金)取引は、世界中で人気のある資産運用手段の一つとして知られています。特に、インフレや通貨安定性の不安にたいしてもゴールドは「安全資産」となる存在として広く認識されています。
ゴールドの価格は、さまざまな要因(経済指標、政治的イベント、金融政策など)によって変動しますが、金利低下時や経済不安時には価値が上がる傾向があります。
では、CFDを用いたゴールド取引には、どのような特徴があるのでしょうか?具体的に見ていきましょう。
レバレッジを使った取引
CFDにおけるゴールド取引ではレバレッジを利用することができます。rエバれっじという言葉が『てこの原理』を意味しているように、少ない元手でも大きなポジションを持つことができるのです。
たとえば、1万円で取引を開始し、その元手でレバレッジを効かせて数十万円分のゴールドを取引することも可能というわけです。これはCFD取引の大きな特徴であり、メリットでもあるのですが、だたし、少ない資金で効率的に取引ができるものの、その分、リスクも高くなるという側面も持っています。
上昇・下降どちらの局面でも利益を得られる
ゴールドの価格が上昇する局面では「ロングポジション」、価格が下降すると予測する局面では「ショートポジション」を取ることができ、相場の動きに応じて利益を得られます。つまり、現物の金を取引する場合は「買って値上がりを待つ」だけですが、CFD取引などでは価格が下がる時に売って先に利益を出すことも可能となるのです。わかりやすいように具体的に説明していきましょう。
上昇局面での場合、金価格が上がると予想して「買い」でエントリーします。その後、実際に価格が上がったら、高くなったところで売却して差額が利益になります。つまり、1g = 9,000円で買って、1g = 9,500円になった時点で売ることで 500円の利益が上がるわけです。
反対に、下降局面での場合でも、金価格が下がると予想して「売り」でエントリーし、実際に価格が下がったところで買い戻して決済することで、その差額が利益になるのです。例えば、1g = 9,500円で空売りして1g = 9,000円になった時点で買い戻すことで、500円の利益が発生するというわけなのです。
上昇か下降、どんな相場であったとしても、収益チャンスがあるのがCFD取引の魅力のひとつでもあります。
24時間取引可能
ゴールド市場は、基本的に24時間、世界中のどこかで取引が行われています。特にCFDを通じて取引する場合、他の市場と同様に時間帯に関わらずアクセスすることができるため、国内の取引時間外でも、海外の市場で発生する価格変動を狙って取引することができます。
スプレッドが狭い(取引コストが低い)
CFDのゴールド取引においては、基本的にスプレッド(買値と売値の差)が狭いため、取引コストを抑えやすい傾向にあります。つまり、頻繁に取引を行うデイトレーダーやスキャルパーには適した取引となっています。
物理的なゴールドを保有する必要がない
CFDを使ってゴールドを取引する場合、言うなればゴールドの価値を取引することになるため、実物の金を購入して保管する必要がありません。単にその価格差を取引するだけでいいため、物理的な資産の管理や保管の手間を省くことができます。
ゴールド取引の戦略
ゴールド取引において成功するためには、適切な戦略とリスク管理が必要となってきます。もちろん、自分の投資スタイルや好みに合った戦略を選ぶことが何よりも大切ですが、代表的なものを見ていきましょう。
テクニカル分析
テクニカル分析を活用して、ゴールドの価格動向を予測します。主要な指標としては、移動平均線(MA)や相対力指数(RSI)、MACD、ボリンジャーバンドなどがあります。これらを使ってエントリータイミングや利益確定、損切りポイントを決めます。
ファンダメンタル分析
金価格は、経済指標や地政学的リスク、中央銀行の政策などに大きく影響されます。これらの要因を分析し、ゴールドが上昇するか下降するかを予測することが重要です。